ろじうらのあかり

好きだからこそやるんじゃない やってるからこそ好きなんだ

感想:「斬魔大聖デモンベイン 機神胎動」

 納期が迫っててしっちゃかめっちゃかなんですよ(納期は絶対なのだ!)
 近頃はサンファンの感想を書く時にしかこっちに顔を出していないのですが、最近買った電子書籍で「斬魔大聖デモンベイン 機神胎動」を買って読みましたので以下にその感想を。
 
 

 

 
 アズラッドについては「機神飛翔デモンベイン」で存在を知っていたし、機神飛翔での活躍も知っていたのですが、そこでの彼の発言意図がよーーーーくわかってしみじみしました。アルの「妾を憎め!アズラッド!」の意図もな……いや大体わかってたけど、やっぱり「自身の主となり機械神を使役する人間が魔道に道を踏み外し飲まれ墜ちていく様」に疲れすらしていて、そりゃあ九郎ちゃんが光だよな……って……アズラッドの鬼神飛翔での発言「もう、大丈夫だな」も、「九郎ちゃんと出会う前のアルってあくまで使役者と魔道書の関係だった」と思っていたので、当時は意図がわからなかったんですけど、「あー」って感じで。
 この「己の力によって使役者が狂っていく半道具存在」、村正に繋がっていくんだなぁと思うとニトロの歴史を感じる。ここでのアルは基本的に目的第一だし、つっけんどんで冷酷ですらあるけど、それはアズラッドの消費をなるべく抑えて、彼にとっての目的にたどり着けるようにしようと彼女なりに考えての事なんだよな……。
 
 覇道鋼造、八面六臂の活躍ぶりだし、付いてる執事は相変わらず(こっちがウィンフィールドの先達ではあるのですが)キレッキレのボクサーだしさらにおじいちゃんであるので滅茶苦茶ポイントが高い。
 何がどうなったらこういう人物になるのかね、という話なんですが、まあ、な、うん。アルへの最後の言葉、因果を知っていると本当に「わかる」。
  彼の「”計画性”と粘り強さ”。重要なのは精神の持久力だ。私に言わせれば、すぐにあきらめる奴というのは、要するにただのものぐさだな」という台詞、大事。本当に大事。
 
 そして今回のダークホースであり「灯火の人」でもある「オーガスタ・エイダ・ダーレス」。元ネタは「エイダ・ラブレス」と「オーガスト・ダーレス」 で、「どうしてエロゲ界のクトゥルフにおけるダーレスはこうも女体化されるんだ????」みたいな顔にはちょっとなりましたね。まあラブクラフト御大も似たようなことにはなってるんですけど。閑話休題
 
 貴族令嬢でありながら「科学の騎士」を自称し、昼は記者、夜は「科学の騎士」として日夜エネルギッシュに活動する彼女には、あまりにも理不尽で辛く哀しい過去がありました。「アーカムシティ」の「路地裏」とくれば覚えのある方にはお察しいただけるかと思いますが、彼女は幼い頃、父親と観劇の帰りにアイスクリームを買って、溶けないようにと近道のために灯りのない路地裏を通り、生活に困窮した芸人に襲撃されて父を殺害されてしまうのです。 そのような境遇でありながら、オーガスタ・エイダ・ダーレスの出した結論はこうでした。
 
 「自分の父を殺したのは”怪物”などではなく、また、ひとりの貧しい男でもない。社会に巣くう貧困と、市街の端々にわだかまる夜の闇だ。
  もしも、あの日彼らが出会った街路に、ただ一本の街灯があれば――」
 
 そして、エイダは闇を照らす事を決めるのです。
 昼は「記者」として、世界の闇を真実の光でもって。
 夜は「科学の騎士」として、アーカムの闇を科学の光でもって。
 
 とはいえ彼女はまだまだ若く、その行動が世に認知されているわけでもなく、世間には記者活動ですら道楽と見なされる始末であり、彼女自身彼女が照らすべきと信じる「暗闇」はその一端程度しか知りません。そんな彼女が覇道鋼造、アズラッド、そして「魔道書の化身」たる少女、アル・アジフと関わる事によって、その暗がりの深さと広さ、底知れなさを知り、それらに戦きながらも出した結論、これもまた人間の姿なのだと感じさせてくれるよいキャラクターでありましたし、「ダーレス」と「エイダ」の名を冠するにふさわしい人物であったと思います。
 
 アズラッドの闇を照らしたのはエイダなんやな……って。それがたった一瞬でも、火が灯ったことに関係はないのだ……。「灰燼のカルシェール」初版の帯の言葉、めちゃくちゃ思い出すな……リンク先画像帯の、うっすらとしているほうです。
 そういえば今回の敵対神格である「ズアウィア」って聞いた覚えないな?と思って調べたら、元ネタ的にはこういう事らしいです。クロウリー関係から古橋さんが生み出した造語とかわか……わかるか……!!別にそこまでクトゥルフ詳しくないけども!
 
 と、さんざん書いたら脳を使いましたね!アイスクリームを食べましょう!