ろじうらのあかり

好きだからこそやるんじゃない やってるからこそ好きなんだ

2020-08-29:推しと推しに花火がほぼ同時実装されて推しの花火を思い出し情緒ハチャメチャカーニバル

 

 タイトル通りの話をします。

 

 2020年8月25日、刀剣乱舞-ONLINE-にイベント「夜花奪還作戦」が実装されました。

 説明を読みつつ景趣「展望の間・花火」を見て脳内シナプスがスパークした私の口から飛び出したのが以下の台詞です。

 

 「嘘やろ……夢か……???想像以上に塚口花火大会なんだが……????」

 

 

 

 推し劇場の話をします。

 いや元が劇場というだけであり映画館なんですが、塚口サンサン劇場という映画館です。

 「映画 刀剣乱舞」の応援上映で唯一法螺貝の持ち込みを許可したとか、ガルパンの劇場版で音響監督直々に音響の調整を行いガルパン西の聖地」と呼ばれているとか、「ThunderboltFantasy 西幽玹歌」の国内唯一の応援上映を行い、上映前には虚淵玄さんと岩浪美和さんのトークショーを行い更に虚淵玄さんも客席に座り一緒に応援上映を行うとか、マサラ上映でクラッカーが近隣店舗から消えつづけて業者が営業に来たりとか、日本一トイレの綺麗な映画館を目指しているとか、映画館のグッズとしてエプロンを売る(モットーが「エプロンでも気軽に来られる映画館」だから)とか、ポップコーンで食べログに載っているとか、話題には事欠かない映画館です。

 

 そんな塚口サンサン劇場がある日、公式アプリでこんなメッセージを発信しました。

 

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 突っ込み所しかない。

 

 映画館で上映するのだから花火テーマの映画かと思えばガチの花火映像だし、そもそも映画館なんだから雨天決行は当たり前だし映画館へ行くのに浴衣を着る必要はないのです。

 それでも言う、わざわざ言う。だってバーチャルだろうとなんだろうと、これは花火大会なのです。言い回し一つとっても作品(この場合は花火大会)に合わせるというのも塚口の流儀。

 

 この時点で心が完全に「BIG LOVE」になった私は「また塚口が愉快なことをやっている……ならこっちもバカになるしかないな!!!」と言いながらわりと必死こいて浴衣を売っているお店を探して当日間に合わせました。そもそもコロナウイルス対策で一つ飛ばしのままだから80席にもならない席を塚口ガチ勢と奪い合いにもなるわけで、チケット取れなかったら買った浴衣が水の泡と帰す可能性もあったんですけど、ちっとも頭に浮かびませんでしたね。それだけ塚口のイベント上映に飢えていたんだろうなって思います。

 

 一方その頃、サンサン劇場は待合室にこのようなものをおっ立てていました。

 

 

 

 Q:ここは本当に映画館なんですか?

 A:お嬢ちゃん、塚口は始めてかい?通常運行だよ。

 

 チケットは打ち上げ前日の午前0時からオンライン販売が開始されたのですが、2日分とも販売開始から2分で吹き飛ぶという超激戦をなんとか潜り抜け、当日は浴衣を着て行って参りました。

 どういった感じだったかと言いますと、

 

 浴衣や甚平で迎えてくれるスタッフの皆さん

 ドラえもん音頭やおそ松音頭、ソーラン節がリピートで流れる待合室

 待合室のやぐらを囲み浴衣や甚平で盆踊りするガチ勢

 売店で売られる瓶ラムネとビール

 劇場のあちこちを飾る折り紙の提灯や手裏剣

 館長の前説メッセージに自然と起こる拍手

 ウーハースピーカーで迫力を増した心臓に響く打ち上げ音

 低音が座席や足元を揺らす疑似4DX

 スクリーンに咲く鮮やかな花火の迫力

 3Dきのこ

 映画の上映中は騒音にしかならない「ラムネ瓶のビー玉が当たる音」「ビールの缶を開ける音」が臨場感に拍車をかける思わぬ効果

 演目が終わるたびに客席から起こる拍手

 日本3大花火大会のおいしい所や、地域の特色が出た花火を一度に浴びられた

 終了後の館長のお言葉

 

 という感じで「風情」がめちゃくちゃありましたね……超よかった、エアコンの効いた映画館、人混みに揉まれたり人の声がうるさいという事もなく、ただただ広いスクリーンとめちゃくちゃによい音響で花火に向き合う、という映画館ならではの「花火大会」であったと思います。

 

 そういった「今年唯一の花火大会」を浴びた状態だったため、「夜花奪還作戦」及び「展望の間・花火」の詳細を知った私の脳細胞がスパークするのも、まあ無理からぬ事と言えましょう。

 

 

 所で「夜花奪還作戦」の舞台は江戸の町であり、マップを見る限り「奪われた花火大会」は「隅田川花火大会」であろう、というのがファン間での認識となっているようです。由来としては享保17年の大規模な飢餓と疫病の慰霊、悪霊退散の祈願であると言われており、ゲーム中に実装されたはじまりの五振りの「願いについて」のボイスはここから来ているのでは、とも言われています。

 

 隅田川花火大会と言えば、個人的にはこの曲なんですよね。

www.youtube.com

 隅田川夏恋歌(すみだかわかれんか)」jubeatシリーズを始めBEMANIシリーズの音楽ゲームに収録されている名曲です。(初出シリーズを間違えられたくないめんどくさオタク)

 歌詞自体は現代を舞台にしていますが意中のひとと花火大会に向かう女の子の揺れる心中、というものは今も昔も不変のものであるでしょう。それこそそれが令和であろうと、江戸時代であろうとも。

 新型コロナウイルスが猛威を振るうと同時に、感染を抑えるためにと様々なイベントや中止や延期となり、「奪われた」と思うことにも疲弊して諦念を抱きそうになる程に、止めようがないほど手からこぼれ落ちていくもの、あったはずのものがこの曲にはある。例えばライブのためにうちわを作るとか、マサラ上映のために大量の紙吹雪を切り、クラッカーを用意するだとか。即売会で憧れの作家さんへ渡す手紙をしたためるとか。年1回の親戚一同バーベキューに向けてひっぱりだしたコンロを磨くとか。バーチャル花火大会のために浴衣セットを探し回るとか。

 

 それで、「塚口花火大会のチケット取れなかったら、買った浴衣も無駄になる」と思わなかった理由がわかりました。

 チケットが取れない事は、いつでもある事だから。自分がチケットを取れなかった分、誰かの手元にチケットが行って、その人が楽しめたのならいいのです(悔しさ自体は当然あるけど)。

 ただ、イベント自体が疫病によってなくなるなんてのは、金輪際ご免だ、と本当に思います。

 (*あくまで、ここでは塚口サンサン劇場のチケットシステムのみの話をしています。結構特殊なので他映画館や舞台とは異なっていると考えられます)

 

 そんな風に奪われていく、多すぎてこぼれ落ちていくものを、しかしこれ以上させてなるものか、何か一つでもとあがいた結果が、「花火サラウンド 塚口流で愉しむ日本屈指の花火大会」であり、「夜花奪還作戦」なのでしょう。

 

 いやでも実際、推し映画館が「やっぱり花火がないのは淋しい」ってバーチャル花火大会やってからから一週間も経たない内に推しブラウザゲーが「江戸の町から奪われた花火を取り戻す」ってイベント実装するの気が狂いますよ。推しと推しが示し合わせてもいないのに、「花火大会」を「自分たちの流儀で取り戻そう」としてるんですよ。どっちにも別々の大変さ、準備があって、それを一つ一つ成した上での事です。

 

 エンタメ屋の意地を見たよね……。いつまでも推していくからな!!!!!

 

 オチらしいオチは特にないのですが、「3Dきのこってなんやねん……」と思ったそこのあなたに朗報です。

 

 「花火サラウンド 塚口流で愉しむ日本屈指の花火大会」、9月11日~9月17日で再打ち上げが決定いたしました!!

 自分の体で塚口のバカさ加減と音響と3Dきのこを確かみてみろ!!!!