11月の灯

好きだからこそやるんじゃない やってるからこそ好きなんだ

2022/06/06 梅仕事の季節ですね&犬王の話

 

 

 スーパーにはもう既に黄色に熟した梅が芳醇な香りを放っており、危うく買ってしまうところでしたが無事青梅の確保に成功いたしました。

 今年は梅酒と、以前仕込んだ梅シロップが途中で発酵してしまった反省を生かし梅ビネガードリンクを仕込みました。おいしくなあれっ……!おいしくなあれっ……!

 

 

 前回の記事で「犬王」について話しましたが、正直ネタバレなしで言える感想については

 

えらいもん観ちまった……

犬王の鑑賞、応援上映が正しいスタイルでは?

「爆音で観てナンボじゃん……」

つ、塚口ーッ!!!!塚口で爆音上映を何卒ーッ!!!!無声でも構わないので応援上映をーッ!!!!

 

 という所に落ち着いてしまいました。関係者の皆さんも「応援上映とか……したいよね……」というような事を仰っていたのでそらそうなるし、上映2週目に公式で応援上映開催決定したの、えらいぞ♡(本当にえらい)

 

 我らが塚口サンサン劇場も犬王は上映検討リストの最上位に入っているとの事なので、もう何も言うことがない。お花紙を切って、紙吹雪アリの応援上映が開催されることを祈願しようと思います。もはや千羽鶴折るときのメンタルだよ。(でもマジで感染状況の事とか考えると祈るしかないから……)

 

 以下はネタバレありで感想です。

 

 

 竜中将の中盤入りかけたインストの所でどうしても「俺の話はいい!犬王の物語を!」って叫ぶ友有の声が蘇ってきて情緒めちゃくちゃになるんだよな……。友有自身だって北条の「神器を手中にせねば」という思惑で父と視力を失ったのにな……。

 

 「異形と盲」という社会的弱者の主人公、音楽のベースがロックであることも相まって「権力への叛逆」「持たざるもの」といった点がピックアップされがちですが、個人的には犬王はずっと「平家の物語を語り継ぐ」器というか、巫女のようなスタンスであったし、友有はずっと「平家の物語を語り踊る犬王を伝える」というスタンスであり、帝のオファーを受けていなくても竜中将は別の場所で別のやり方で踊ったんじゃないかなあ……と思うんですよね……。

 

平家物語」のびわもそうでしたけど、「平家に父を奪われながら、平家の庇護下で暮らして平家の人々を知る」というように、友有も「北条に父と視力を奪われながらも、琵琶法師という生き方、語るべき題材(犬王)を知ったために、犬王とともに北条の招きに応じた」んですよ。そもそも仇を探す旅に出ていたのも、それしか縋るものがなかったからで、後の兄弟子である谷一に拾われた時点で孤独感からはほとんど抜け出せていたのだろうと思います。だからこそ最後にあった父親の霊も「達者で暮らせよ」と言って消えていった。

 

 犬王は「鎮魂」の側面が強い「祭事」のような感覚で踊っていて、二人が有名になって友有が座を持ったりしても、「鎮魂を祈り、語り伝える」という本質は変わっていなかった。ロックンロールの源流は確かに反体制なんですけど、制作側はなんか……多分そこが本質だとは思ってなかったんじゃないかな……。じゃあどういうつもりだったのか、と言われると上手く言えないので、まあパンフ読んでください。

 

 もっとも「平家の物語を語りきった」故に、「友のために」それまでの在り方を手放し、その後は「道阿弥」という名で生きた犬王とは対照的に、友有は己の「友と有る」ことを手放すことができずに、「犬王は了承した」という言葉で全てを失ったと絶望し、北条に父や視力のみならず全てを奪われた「友魚」として600年間処刑場に魂をこびりつかせてしまうこととなってしまうのですが。

 

 だから……私は友魚の終わり方は「そりゃまあ、そうなるわな……あの帝はそうするわ……」なんですよね。

 単に「そうされると都合が悪い」、以外の理由はないんですよ。「これが基準です」って言ったもの「以外」を受け入れる余裕なんかあの時代にまったくありませんから。こういう感想になるあたり、虚淵玄をムシャムシャ食ってきた人間って感じがするなと我ながら思います。

 

 それでも最後に――というか、私を含めた観客が「見届けた」からこそ、「彼」の最後の断末魔を聞き届けた人間がいたからこそ、犬王と友魚、二人の600年越しの再会を叶える事が出来たのだろう、と感じました。私たちが観ているのもまた、「語られ、奪われた」物語だったのです。

 というかあのシーン、「ピンポン」の「遅いよ、ペコ」的でもあったよな……。

 

 友情、狂躁、嫉妬、憧憬、憎しみ――様々な感情に彩られつつも、徹頭徹尾「鎮魂を祈り、語り伝える」という物語だったんじゃないかなー。

 

 塚口サンサン劇場で上映されたら息をするように二度目三度目キメる予定なので、また発見があったら書くかもしれません。