みにくいモジカの子:許斐鳴子ルート
鳴子ちゃんルート、攻略を見なかったら絶対に入れなかったと思います。
そういう訳で感想ですよ。ルート自体の話に留めるつもりですがそれ以外に言及していたら本当にすまない。
椿ちゃんだけ文字が浮かんでいないので「おっこれは椿に何かあるな」と思ったらまさかの真打ちでした。
いや、椿ちゃんにもちゃんと理由はあったんだけどな。攻略サイトを見ながら「えっ個人ルートがトゥルーエンドなの?」と思ったんですけど、クリアしてみれば納得でした。種崎捨の視界は120㎝、文字通り「視野が狭い」訳で、狭い視野に収められるのはそりゃ一人だけだわなって話なんですよね。
そして種崎捨は視野が狭いので一人(ルートヒロイン)相手に全力で掛かってしまう、関わろうと思って、ヒロインに向かって全力で突っ走って落下するわけですが、鳴子ちゃんの視野は120㎝よりもっとずっと広いので、種崎くんが笑子に翻弄された結果きちんと「視る」事のできなかったヒロイン達を次々に堕としたり掬い上げたり、彼にできなかった事を種崎君の目の前で次々とやり遂げていくわけです。
それにしたって椿ちゃんのアレはわりとキツかったな……いや椿ちゃんは自分のカンヌキを壊してくれた人に心を寄せる所はブレてないので椿ちゃんが悪いわけではない、ただカンヌキを壊した相手が違うだけなんやなという。
種崎君の「視野が狭い」という点を置いて、「復讐」に目を向け続けていればこのルートに入れる、という事なのかな……いやフラグが4つ、いくつかは顔を上げる場面において複数回スルーしなくちゃいけないのでそりゃバイオ氏も「攻略サイト見てね」とは言うよねー。
それにしても鳴子ルートを見ているとなんだろう、「人間は誰かにされたことしか誰かにできない(鳴子パパも同じ道を辿ったんだよな……)」とか「等身大の自分」「対等さとは」とかいろんな物に思いを馳せますね…… 後半能力の関連だけ見たらものすごいインフレバトルみたいだなって思いました。
コンセイサマの内部に入ったとき、飲み込まれBADをさんざん見た後だったので「おっただいま!」とすら思いましたが、コンセイサマのお顔大写しは素直にキモかったですね、視線がほぼ中央に固定されているから余計に面食らうしキモーい。やっぱ……焼いて正解だったんじゃないかな!
焼けた神社を脱出した直後の鳴子の演技がすごくて、桃井いちごさんがいっぺんに好きになったな……。 あの二人に関しては本当に鳴子さんのバブみ拷問潮吹きカウンセリングでの
「お前はカンヌキを持っているのだから心の声だって本当だという証拠がない」
「嘘だという証拠もないわ」
が全てなんですよね。互いの異能が拮抗しているがゆえに、何一つ証明ができない。誰の心も視る事ができるのに、最も知りたい相手の心だけが視えない。
それでも種崎捨はあの瞬間、「私たちが愛し合っているなんて嘘」と叫び、同意を求める鳴子に、表情の見えない鳴子に「僕には鳴子の心が視える」と告げたわけで、それが全てなんだなって思いました。
唯一証明の効かない「愛」を抱えて、自分が最も愛する人と思う人を信じて手を取って歩んでいこうとする、寄り添いながらそれを試みる。
「真実」を「視る」のではなく、「感じて」生きていこうとする種崎捨と許斐鳴子に、幸あらんことを祈らずにはいられませんでした。
ラストのアレについては、個人的にはガチ肉親だと思います。でないと鳴子に否定されて心臓が跳ねる理由がないし、「それでいいんだよな」もおかしくなる。でも、それは本質的にはどうでもいい事なんだろうなーって思います。
なんていうか、本当に「俯いていた男の子が、顔を上げる」話だったね。そういう話だった。
スタッフロールに関してなんですが、局所的なアレで泣いた。あと発売当日の桃井いちごさんの「世界は怖くてツラくて、でも尊いと思います。」というツイートを思いだしてまた泣いた。泣くわこんなの。