さわやかは相変わらず大変においしかったです2019

　そんなこんなで2年ぶりに元気よく静岡は三島・佐野美術館へ行って不動行光くんと燭台切光忠さんを拝んでまいりました。甘酒は佐野美術館の物販で売っていたし、こんなん買うしかないでしょ、許して。生姜湯を入れながらちょっとずつ飲もうそうしよう。

　当日はとてもよく晴れており、透き徹った空に富士山がよく映えておりました。佐野美術館は庭園が併設されているのですが、庭園に植えられた木々の隙間からのぞく青空や差し込む日の光が気持ちよかったです。

　それにしても等身大パネルを見て改めて彼の身長を実感したわけですが、これで短刀はやっぱ正気の沙汰ではない……という事を改めて思い知りました。骨喰と並んでたから余計にな……。その身長で短刀の間合いは大分危ないんだよな……。
　今回の佐野美術館のコンセプトは「罹災によって焼けてしまった刀たち」であり、それらの刀が後世の研ぎ師達の手によって再刃され、輝きを取り戻した刀たちでもありました。実は美術館に着くまでコンセプトをロクに理解しておらず、だからこそ個人的にインパクトの強い展示であったように思います。ていうか美術館1Fの物販コーナーで図録をパラッとめくったら「同田貫上野介」の文字があって「同田貫おったんかワレ」という気持ちで胸が一杯になりもうした。
　そのまま流れで展示の同田貫の話をしますが、焼けて直刃になり、焼けた部分を落としたために厚みは（同田貫にしては）薄くなり、いくつもの割れがはっきりと見える姿でありながらも痛々しさは皆無であり、同田貫ならではの頼もしさを備えた輝きを宿したままの姿に圧倒されました。研ぎ師ってすごいんだ……ありがたい……と思うと同時に、「擦り上げの際、銘を削るのを惜しんで特殊な技法で残した」という記述をパネルで見つけ、そもそもがよい刀だったのだなあという気持ちになりました。
　燭台切さんもすごかった……焼けて真っ黒になっているのにしっかりとした姿のままで、はばきが溶けた金の跡でさえも何かの意匠のようだったので、「強い」という感想が出てきました。

　展示には再刃が不可能なほどに曲がってしまった刀も多くあり、炎に鍛えられた刀でも、もう一度高温に晒されれば往事の姿には二度と戻れないのだと言うことを噛み締めると同時に、炎の恐ろしさもまざまざと感じられました。人間国宝認定の研ぎ師ですら、再刃の際に「地金が繊細で、焼かれる前にはなかったであろう刃文が入ってしまう」という事は往々にして起こるものであり、鉄は強くもありまた繊細であるという一面もまた再確認させられた展示でした。あと、そういう状態の刀を破棄せずに「資料」として残してくださった美術館や博物館の方々には本当に頭が下がる。必要不必要の話ではないんですよね……。
　そしてまた不動君の話になるんですが、説明パネルに「再刃されたとは思えない」と書いてあって、いや、もうほんとうにマジで再刃されたとは思えない美しさで……小柄で、見つめていると心が静かに透き徹っていくようなたたずまいでした。今回の展示で不動君が余計に好きになりましたし、みんな、不動君を見に三島へ行ってくれ。頼む。

　あと三嶋大社の宝物館に村正がいて二度目の「おったんかワレ！！」を炸裂させながらしげしげ眺めたんですが、とてもかっこよかったです……長さで言えば太刀ぐらいで、おっきくて迫力のある刃文をした頼りがいのある姿でした。あっ、あと「八幡大菩薩」って刀身に彫られていて、装甲悪鬼村正大好きマンが大喜びしたよな。村正（エロゲ）で「八幡大菩薩」と言えばそれは膝丸と髭切の事なんだけど（千子）村正は仏教との関わり深いから……。三年前の三嶋大社で井上真改さんを見かけたのだけど、今出てくることはあるのかな……井上真改さんは装甲悪鬼村正でも印象深かったので、刀剣乱舞にも実装されないかしらとほのかに期待しています。

　そして当日スタンプラリーの台紙で「！？」ってなった、資料館の復元三日月、復元蛍丸の影打ちな……二振りとも静かな迫力があって、最新の刀であるはずなのに、過去に打たれたばかりの刀を目撃したような、タイムスリップしたかのような感覚がありました。これ……二振りとも「所蔵：ニトロプラス」なんだよな……フフッってなる。

　そんなあれこれで「は～楽しかったな～」って帰ってきてTwitterを見たら薬師寺が「今年の展示やらないって言ったけどやります」って言っててアッハイ行きます。それ以外に言えることなんか……ねえよ……。今年の奈良は他にも色々行きたいかもな……それこそ東大寺とかな……。
　今年は単眼鏡も買ったしな……ブレストシープさんが所有している元ハワイ銀行頭取の手元にあった同田貫、しげしげ眺めたい。

　所でこれはスプライトシュピーゲルの雛ちゃんを感じて買った静岡のラスクです。黄色くてぶんぶんしてるからね、仕方がないね。